
Text_VAZAAR Editorial
Harleyの先にあるバイカーTシャツ。
古着屋へ行くと、必ずと言っていいほど見かけるHarley-DavidsonのTシャツ。今ではヴィンテージTシャツを代表するジャンルのひとつになり、人気のデザインは2〜3万円を超えることも珍しくない。でも、モーターサイクルTシャツの面白さは、Harleyだけでは終わらない。アメリカには、Harleyと同じくらい濃くて、格好いいグラフィックを持ったTシャツがまだまだたくさんある。今回は、そんなモーターサイクルTシャツの世界を少しだけ覗いてみる。
Harley-Davidsonというカルチャー
Harley-Davidsonは1903年創業の、アメリカを代表するモーターサイクルメーカー。ただ、Harleyの魅力はバイクだけではない。ライダーのためのウェアやグッズを早くから展開し、「Harleyらしいライフスタイル」そのものをブランドとして育ててきた。
アメリカ各地のディーラーではオリジナルTシャツが作られ、旅先でその土地のTシャツを買うことも、Harleyカルチャーの楽しみのひとつになっている。だからHarley Teeには、「ただのブランドTシャツ」とは少し違う空気がある。
どこの街で作られたのか。
どんな景色の中を走ってきたのか。
そんな背景まで含めて、一枚のTシャツとして残っている。古着屋で昔から定番として扱われてきた理由も、単にブランド名だけではなく、そのカルチャーごと受け継がれてきたからなのかもしれない。

Harley Teeの多くは、販売したディーラーの地名が入る。これはラスベガスのディーラーで販売された一着。

グッズを早くから展開していたハーレーらしく、60s~70sのジャケットにはパッチがカスタムされた個体も多い。
なぜHarley Teeはカッコいいのか
Harley Teeを見ていると、不思議なことに気付く。描かれているモチーフは、どれも少しベタだ。
イーグル。
スカル。
フレイム。
星条旗。
ピンナップガール。
日本のブランドが同じことをやると少しやり過ぎに見えそうなのに、Harley Teeになるとなぜか自然に見える。それは、グラフィックの向こう側に"USA"が見えるからだと思う。
広いハイウェイ、乾いた砂漠、ガレージ、ロードトリップ。Harley-Davidsonは、そんなアメリカンカルチャーそのものを象徴するブランドでもある。だから少し土臭いくらいのグラフィックが、むしろ格好いい。

ハーレーの代名詞でもあるイーグルを前面にプリントした「80s Harley-Davidson Eagle Face」。SOLD OUT
近年は、そんな定番モチーフに加えてライトニング柄も人気が高い。90年代らしい勢いのあるデザインは、ヴィンテージ市場でも注目されていて、Harley Teeを探すときに「あえてライトニング柄」を選ぶ人も増えている。

人気が高いライトニングモチーフの「90s Harley-Davidson Evolution Revolution」。販売中

スリーブにライトニングデザインが入る「2001 Harley-Davidson Lightning Eagle Long-sleeve」。販売中
さらに、Harley Teeはボディを見るのも面白い。1980〜90年代には、3D EMBLEMをはじめ、HOLOUBEK、Hanes、Screen Stars、ONEITA、Fruit of the Loomなど、さまざまなボディメーカーが使われていた。グラフィック、生地感、フェード、シルエット。同じHarley Teeでも、一枚ずつちゃんと個性がある。
古着としてのHarley Tee。
少し前まで、Harley Teeは"古着屋へ行けば見つかるTシャツ"だった。もちろん人気はあったけれど、今ほど高価ではなく、気に入った柄を気軽に買える存在だったように思う。それが近年は大きく変わった。
90年代ヴィンテージTシャツ人気の高まりに加え、フェードしたブラックボディや大判プリント、人気モチーフへの注目が集まり、相場は年々上昇。イーグルやスカル、ライトニング柄など人気のデザインでは、2〜3万円を超えるものも珍しくない。
年代やタグ、生産国、コピーライト。そうしたディテールを見ながら選ぶのも、ヴィンテージの醍醐味だ。でも、モーターサイクルTシャツの魅力は、それだけではない。年代や希少性だけを追いかけるのは、少しもったいない気もする。

Harleyの外側にも、面白いTシャツがある。
Harley Teeが好きになると、自然と目に入ってくるのがアメリカ各地のモーターサイクルイベントやライダーコミュニティのTシャツだ。
代表的なのが、サウスダコタ州で開催される世界最大級のバイクイベント「Sturgis Motorcycle Rally」。フロリダ州デイトナビーチで開催される「Daytona Bike Week」。100年以上の歴史を持つアメリカ最古のバイクイベント「Laconia Motorcycle Week」。そして、ライダーの権利保護や交通安全活動を行う団体「ABATE」。
どれもHarleyほど名前は知られていないかもしれない。でも、イーグルやスカル、星条旗、炎、ピンナップガールなど、モーターサイクルカルチャーらしいグラフィックは負けないくらい魅力的だ。しかもイベントごと、開催年ごとにデザインが変わるので、"一点もの感"も強い。比較的新しい年代なら、今でも1万円以下で見つけられるものが多いのも嬉しいところだ。

Sturgis50周年アニバーサリーを記念して作られた1枚。SOLD OUT

Daytonaは、アメリカンレースカルチャーを語る上で欠かせない場所。

「HELMET LAWS SUCK」のメッセージが、ABATEの掲げるライダーの権利と自由を象徴する。
Harley Teeが人気なのには、ちゃんと理由がある。でも、だからといってHarleyだけを見るのは少しもったいない。知らないイベントでもいい。聞いたことのない団体でもいい。まずは「このデザイン、格好いい。」で選んでみる。そんな一枚から、新しいモーターサイクルカルチャーを知るきっかけが生まれるのも、古着の面白さなのだから。


